川島隆太先生のオンラインセミナー受講しました
ーいつまでも脳を元気に保つためにー
5/11午後から公文教育研究会学習療法センターが主催するオンラインセミナー「いつまでも脳を元気に保つために」に参加しました。
有意義どころか驚きの研究成果も聞くことができたので、抜粋ですが報告します。
東北大学教授である川島先生は今さらご説明するまでもないですが、脳トレと言えばまずは川島隆太先生、某有名ゲーム機ソフト、本、新聞、テレビ、”脳トレ”に関するあらゆる機会に先生が登場されてます。
先生が所属する東北大学では「スマート・エイジング」ー加齢は成長であり、より賢くなること。加齢は何かを得ることであり、人間としての発達であるーを提唱。
これは「アンチ・エイジング」という加齢に対して後ろ向きな考え方とは対極にあります。それもお話を聞いて「なるほど」と思いました。生命の力とはすごいです。
学習療法で脳力は改善、向上する
「思考の脳」とも呼ばれる背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)、具体的には額の左側面辺りになりますが、脳トレ中にここが稼働している条件に限り脳トレが有効で、トレーニング次第で大脳の体積も増加するとのお話でした。
具体的方法は至極簡単で「計算」「音読」「書取り」を素早く行うこと。
”難しいこと”を早くするのではなく、1+2=3のような簡単な計算でいいので、とにかく素早く行うことだそうです。
難易度の高いことをするよりもスピードを重視。
質より早さ。音読も書取りもとにかく、何を読むか?書くか?ではなく、素早くできるものを選んで取り組むこと。
この”素早くする”ことに意味があるそうで、脳トレ中の脳画像を見せていただきましたが、ゆっくりの場合に比べてより広範囲の脳(前述の背外側前頭前野の部分)が活動しているのが分かりました。
1日20分程度、週5回の学習に効果があるそうですが、週2回で認知機能維持、週3回で認知機能向上が期待できるそうです。続けることに意味があるそうなので、無理なく続けられる回数でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
認知症で無気力、無表情だった患者さんが
学習療法による認知症患者さんの改善のケースを2例ご紹介いただきました。
脳血管性認知症を患う70代女性。9年前に脳出血、右脳が損傷したことにより無表情、無気力になり直後から認知症に。9年を経てから学習療法を始められたそうですが、進めていくうちに徐々に改善し、遂に笑顔と気力を取り戻されました。
もうお一人は重度のアルツハイマー型認知症の80代女性。寝たきりの状態でしたが施設の職員さんが、ご本人が起きている間の読み聞かせから始めたそうです。何と3か月後に椅子に座って自分で学習できるまでに改善されました。
これには川島先生も最初は耳を疑ったほどで、まさに学習療法の成果であり、それを続けた患者さんご本人の努力、そして施設の職員さんのサポートの賜物です。
川島先生も「患者さんと職員さんの良いコミュニケーションの上に成り立つ結果」と仰っていたのが印象的です。
脳の解明はまだまだ途中
脳は再生が難しいと言われていましたが、最新の研究で成人の脳に神経細胞になることができる神経幹細胞が発見されました。
この先も脳に関する様々なことが解明され新たに説明が書き足されること、あるいは書き換わることが出てくることになるでしょう。
これは認知症についても同様のことが言えます。
しかも前述の2例は”学習”という非薬物療法による成果です。認知症の治療薬開発が進展しない現状では光明ですね。
とは言え依然として治療法がないことには変わりがありません。現在分かっていることを利用して、認知症対策、予防に努めましょう。
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