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火事による死者のうち70%が高齢者です

連日、火事のニュースを目にしていませんか?

寒くなってきたせいもあるんですが、ここのところテレビで火事のニュースが目立ちます。

今年は名ピッチャーだった元プロ野球選手(享年72歳)の方も自宅火災で亡くなられています。

高齢者の方の犠牲が多いなと思い、東京消防庁さんが発表している「令和4年版火災の実態」を読んでみました。

すると火事そのもは減少傾向にあるものの、犠牲になる高齢者の割合が増加しているようです。

高齢ゆえにすぐ火や煙に気がついたり、逃げることも難しいことも理由の一つです。

そして火事そのものはどのような原因が多いのか、その対策とともに「火災の実態」からご紹介させていただきます。

下の表は同書で報告されている火災による死者の統計です。

高齢者の割合は2012年(平成24)に67.4%、28年に70.7%、2019年(令和元)に62.2%に下がりますが、2020年に74%、2021年は77.7%に増加しています。

火事で犠牲者が出ればその7割は高齢者というのが実態です。



下の表は高齢者に限った構成比で、最新の2021年の統計と直近10年の比較になります。

この表の一番右列ではさらに高齢者を前期高齢者、後期高齢者に分けています。

やはり75歳以上の方の犠牲が格段に多くなっているのが分かります。

主な出火原因1位は「たばこ」

近年は喫煙者もかなり減っているようですが、たばこによる出火が原因で亡くなった高齢者は6割を占めています。

2019年の成人喫煙率(厚生労働省国民健康・栄養調査)によると、男性の60~69歳が31.1%、70歳以上は15.1%。

たばこの出火原因数自体は横ばいなので、吸い方や火の始末についても高齢者ならではの問題があるように思われます。

ロウソクもお仏壇用なので高齢者ならではかもしれません。

近年増加している「電気設備機器」による出火

下の表は「主な出火原因火災数」になります。死者が出なかった上の表に比べて件数が大幅に増えています。

注目したいのは電気関連からの出火件数です。

ガスこんろや石油ストーブは目に見える火ですが、電気は見えませんから注意もおろそかに。配線はそもそも見えにくい場所に隠していたりします。

全火災に占める各設備機器等から出火した火災の割合のうち「電気設備機器」から出火した火災の割合が増加傾向で推移しています。

2012年から20%を超え、2021年には35.6%と原因数でたばこの2.4倍になっています。

「火災の実態」では昨年の火災の特徴として、増加が顕著である「電気設備機器の火災」において、とくに注目すべき電気ストーブ配線器具類、リチウムイオン電池、電子レンジから出火した火災の傾向について分析しています。

ご自宅、あるいはご実家が安全な状態であるか、この機会にぜひ点検をしてみてください。

人命にかかわる被害が大きい電気ストーブの火災


経過別では「可燃物が接触する」が 552 件(61.5%)と最も多く、次いで「放射熱を受けて発火する」が 63 件(7.0%)となっています。

電気ストーブをつけたまま就寝し布団等に接触して火災が発生する事例や、電気ストーブのそばにあった可燃物等が放射熱により発火し火災が発生する事例があります。

着火物を見ると就寝中に寝がえり等により布団類に接触する火災や、スイッチが入っているのに気付かず近くに置いた衣類に着火する火災などが多く発生しています。

死者発生状況をみると、死者 67 人のうち 75 歳以上が 48 人(71.6%)と最も多く、傷者発生状況をみると、傷者 379 人のうち 70 歳代が 60 人(15.8%)で最も多く発生しています。

電気ストーブは、直火がなく火災になりにくいと思われがちですが、ストーブの火災のうち電気ストーブが特に多くなっています

電気ストーブを使うときは、次に掲げることに留意しましょう。

電気設備機器火災の3割以上を占める配線器具類

配線器具類とはコード、差込みプラグ、コンセント、テーブルタップ、コードコネクタ、マルチタップ及びコンセント付き家具。

2021年中に配線器具類から出火した火災は 451 件で前年と比べ 74 件増加し、最近 10 年間では最も多くなっており電気設備機器火災の3割以上を占めています。

また配線器具類のうち、コンセント、差込みプラグ及びコードの火災が 388件で、全体の8割以上を占めています。

コードが家具の下敷きになって絶縁被覆が損傷して出火する「電線が短絡する」が 1,165 件(33.4%)で最も多く、次いでコンセント内部の接続部の緩みによる発熱等で出火する「金属の接触部が過熱する」が 1,085 件(31.1%)、差込みプラグの差し刃間等がグラファイト化(黒鉛化する)して出火する「トラッキング」が 569 件(16.3%)となっています。                     

配線器具類の火災を防ぐため、普段から使用している電気設備機器のコード、コンセント、差込みプラグなどの点検や清掃を行い、日常使用していない器具は、差込みプラグをコンセントから抜いておくという措置も必要です。                        

配線器具類の維持管理については、次に掲げることに留意します。

10年間で30倍に増加したリチウムイオン電池火災

2021年にリチウムイオン電池から出火した火災は 141 件で前年に比べ 37 件増加し、最近10 年間では最も多くなっています。

2012年から2021年までの 10 年間で約 30 倍にまで件数が増加し、焼損床面積も最も大きくなっています。

また製品用途別火災では、モバイルバッテリ、携帯電話機、電動工具、掃除機、電動アシスト自転車が計 78 件で全体の半数以上を占めています。

誤使用(72 件)の内訳をみると、「外部衝撃(分解・廃棄分解・バッテリ交換など)」が 23件(31.9%)で最も多く、次いで「使用方法誤り(非純正品バッテリなど)」が 20 件(27.8%)、電圧の異なる充電器を使用するなどの「充電方法誤り(正規品以外で充電など)」が 10 件(13.9%)発生しています。

リチウムイオン電池関連の製品からの火災は、多種多様な製品から出火し、誤った使用方法により出火するのはもちろんのこと、通常の使用方法でも出火する場合があるので注意が必要です。

経済産業省はモバイルバッテリを電気用品安全法の規制対象とし、2019年2月1日以降は、基準等を満たしたもの以外は販売等ができなくなっています

消費者としては、PSE マーク(下図:電気製品が安全性を満たしていることを示すマーク)が付いている製品を購入することが安全への第一歩となります。

20歳代前半で最も多く発生している電子レンジ火災

2021年に電子レンジから出火した火災は 65 件で前年と比べ 14 件増加し、最近 10 年間では最も多くなっています。

2012 年から2021年までの 10 年間で、394 件、死者1人、負傷者 31 人が発生しています。過去には 105 ㎡を焼損する火災や、死者1人が発生する火災も発生しています。

2021年は「過熱する」が 47 件(72.3%)と最も多く、次いで「考え違いにより使用を誤る」が9件(13.8%)となっています。

食品等を長時間加熱しすぎることによる火災や、電子レンジでは使用できないアルミ製の包装ごと加熱したことによる火災等の2つの要因が8割以上を占めています。

年齢区分別では高齢者がほかの年齢区分と比べて電子レンジ調理不可の包装ごと加熱するなどの「考え違いにより使用を誤る」が3割近くと最も高くなっています

食品の加熱しすぎなど取扱方法不良によるものが8割を超えており、清掃不良などにより庫内の食品かすから出火するなど維持管理不適によるものが約1割発生しています。

電子レンジは子どもから高齢者まで幅広い世代が手軽に利用できる便利な電気製品ですが、使用方法を誤ると大きな被害が発生する恐れがあります。

電子レンジを使用するときは、次に掲げることに留意するとともに、取扱説明書で使用方法を確認して、適切な加熱時間で調理する必要があります。

東京消防庁「令和4年版火災の実態」から引用

年末年始にご自宅やご実家の防火点検
家族と一緒に家電製品や配線の取扱いを確認をしておきましょう

※東京消防庁「令和4年版 火災の実態」より引用、図表の転載をさせていただきました。

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